「ハートフルワールド」(2024年9月版9話・10話 バラエティ?)

  • 番組名:「ハートフルワールド」(9話・10話)
  • 放送局:CBCテレビ
  • 放送日時:2024年9月11日(水)、18日(水)午後11時59分~午前0時29分

思えばこの番組はこれまでの放送について全部ここに書いている。前回は賞を獲ったことを踏まえ、筆者が一貫して主張しているヒコロヒーのワイプ不要論を主張してきた。その後、本番組は単発ながらNetflixやU-NEXTでも配信されはじめ、いわば「金になる番組」(コスパがいい)になってきているようだ。

今年の9月には9話と10話が2週連続して放送された。今回もヒコロヒーのワイプは出っ放し。目障りだ。前枠、後枠等取り切りはいいけど、何回観ても視界の端で邪魔。さらに、観ている方が突っ込みたなる部分、感心する部分、疑問に思う部分という番組にとって一番大切であるはずの、視聴者との共感・共振部分を全部ヒコロヒーに言われてしまうので、面白くない、といいうか観ている感動が薄くなるのだ。担当Pの意地でも入れてやる、という感じさえ受ける(苦笑)。まあ、ネトフリやユーネクストに売るポイントとしてヒコロヒーの名前は金を呼ぶのだろうけど、それは理解出来てもワイプは不要。無くても十分いい番組だし、観ている人の印象を薄めることはないと思う。なんだか世の中の制作者、ワイプ恐怖症に陥っているんじゃないか。どストレートなドキュメント番組にしたくない、「クレイジージャーニー」みたいな線を狙いたいと思っているのだろうか。

閑話休題。9話はいつかは出るなと思っていた「三重・渡鹿野島」。10話は「東京・秋葉原」が舞台となっていた。ディレクター一人の取材は危険も多かろうが、この番組の本旨であるから(そこに面白みを求めているから)十分に安全に気を配って取材に当たって欲しいと願うばかりである。この番組の出来は(殆どのこの手の番組はそうであるように)取材した相手にどれだけ恵まれ撮れ高を確保できるかどうかにかかるわけだ。そうした意味で言えば今回の2作は、「当たり」であったと感じる。「渡鹿野島編」でのキーパーソンは、昔、この島に親に売られ騙されてヌードダンサーとして渡ってきた女性だ。また置屋の三代目の男性が今は漁師と立ち飲み屋をやっていて、彼の存在もインパクトがあった。この島はこのエリアの人なら知っているが取材カメラが入ることはほぼないのではないか。そういした意味で、とある人生ドラマを垣間見る興味は持てた。

さらに「秋葉原編」である。地下アイドルが出てくることは想像できたが、このアイドルの中に難病を抱えた女子がいたのは興味を持った。彼女が復帰ライブで観客に「朝、健康な体で起きられて、五体満足であることの有り難さ、幸せさを毎日感じてください!みんな幸せコンチキショーだよ!」呼びかけていた言葉が沁みた。彼女の偽らざる心の叫びに違いない。このアイドルを応援しているという全身タトゥーまみれの愛知県から来た男性も「彫らないと落ち着かない依存症です」といいう言葉はよく引き出した。また街で出会った男性がフリーで地下アイドルイベントをプロデュース(というほどいいものではないが)する人物で、親に10年以上会っていないという人物なのも気を引いた。「キッカケが無ければもう親と会うことはないでしょう」という彼にCTV「こどもディレクター」とコラボすればいいのに、と思った。(この番組もワイプがうざい。更にスタジオの音声が高いので本編とごっちゃになり肝心の本編音声が聞きづらいという欠点もあるんだな)考えてみれば「こどもディレクター」も親子の「ハートフルワールド」なんだな。コラボして面白い番組を製作したら面白いと思いませんか?(KING)